平泳ぎ

平泳ぎ

平泳ぎは4泳法の中で唯一キックがメインとなり大きな推進力を得る泳法なので、股関節やお尻の動きが大きな役割を果たします。競泳用の基本のフォームをしっかり体に覚えさせておかないと、スピードが落ちていくだけでなく、故障もしやすくなります。また、水の抵抗も多いため、スピードでは4泳法中一番遅くなりますが、長距離を泳ぐのに一番適しています。

競泳をするなら、水の抵抗を少なくした泳ぎ方をしなくてはいけません。上図のように、重心をどこに置くのかで推進力が変わってきます。さらに、股関節と膝の角度によって水から受ける抵抗力が変わります。理想は上側ですね。重心移動と足の使い方は簡単ではないので、指導者のもと練習の積み重ねが必要になります。

また、膝を激しく酷使するため障害がおこる事があります。平泳ぎでキックを開始するとき、股関節と膝関節を最大に曲げた状態から強力に下肢を伸ばしながら水を蹴る動作を繰り返します。

その時、下腿部を外側に回して(外旋させて)水を蹴ると「Knee In Too Out(膝が内側に入り込み、つま先が外側に向く状態)」の状態になるため膝を伸ばす時には膝の内側側副靭帯が伸ばされ、曲げた時には内側側副靭帯の前方が伸び、過度の負担をかけることになり、内側側副靭帯だけでなく、半月板も痛めることが多々あります。また、この繰り返しの動作により膝の関節包と呼ばれる軟部組織も炎症が起こることもあります。

 

<キックの方法>

足を引いたときの膝と足首の位置関係で2種類に分かれます。
・足を引いたとき膝が足首より外側にあるのが「ウェッジキック」
(図:左側 ガニ股)
・足首が膝より外側にあるのが「ウィップキック」
(図:右側 内股)

「ウェッジキック」(図:左側)は、股関節を外に広げた状態から内側に動かし、推進力を生み出すキックで、膝を広げて足全体で水を挟み込むような形になります。これは遠泳用などに使われるキックです。
 
足を引いた状態から足首を外側に回すようにして水を蹴ります。いわゆるガニ股姿勢で足の裏で水を蹴り、最後に両足で水を挟むようにします。このキックはゆっくり泳ぐ分にはいいのですが、抵抗が大きいため競泳ではあまり使われません。

近年、競泳においては「ウイップキック」(図:右側)という、膝の間隔は狭く、足部は最大に外側へ広げて水を強力に後方に蹴りこむキックが主流になっています。足首の柔らかさを必要とするキックです。

競泳選手の泳ぎは膝関節に外側へのねじれ(外旋力)が加わり、さらに、外側に押し出す力(外反力)が強く起こしながら膝を伸ばしていきます。このキックにより膝の内側の靭帯に強い力が働き、繰り返しの刺激により、この周囲に炎症を起こして膝関節痛を生じたものが「平泳ぎ膝」と考えられています。負担が大きくなれば痛みも発生しやすくなり故障につながってきます。
 
 
技術のある選手の場合、水中で水を蹴っているにも関わらずコンクリートを蹴っているような感覚を得ることが出来ると言われています。キック時に、水を掻くためには、足裏をしっかりと後方に向ける必要があります。そのためには、股関節を内側にしっかり捻ることがポイントです。

その一方でお尻の筋肉をたくさん使う泳ぎ方なので、その姿勢を維持しようとすると股関節が硬くなりやすいといった特徴があります。そして、お尻の筋肉も使いすぎることによって硬くなるので、さらに可動域が落ちます。

お尻の筋肉を柔らげ、ストレッチすれば良いというものではありません。体幹を鍛えたり膝関節の動きを作ったり、股関節など各関節の歪みを矯正する事により、お尻の硬さがとれ可動域が広がりスムーズな動きができるのです。

 

 

<腕の動き>

ブレスト手の使い方

【キャッチ】

蹴伸びの状態から、手首を使って水をキャッチするように、肩の幅まで開く動きです。

 

【プル】

水をかく動きです。肘を下げすぎない、上げすぎないようにして手の平だけではなく、腕全体で水をかくように意識します。最大限に腕を前方に伸ばした状態から身体の遠くを通るルートでできるだけ多くの水をかきます。

 

【息継ぎ】

肘を立てて水を抱え込むように内側へ掻き込んできます。そして、腕を引いて脇をしめるときに息継ぎをします。この時、腕の動きは止まらないようにします。

 

【リカバリー】

キックをしたときに、勢いよく腕を前に伸ばします。この時に、水の上に手が出てしまわないように意識しましょう。腕が伸びきるタイミングで頭もしまいます。

 

【蹴伸び】

リカバリー後に、ストリームラインを作ります。この時に、体幹が凸凹していると抵抗を生む姿勢になりますので、体幹が凸凹しないようにすることが重要となります。まさに、陸上トレーニングで培ったドローインの習得が活きてきますので、体幹を安定させて蹴伸びをしましょう。

 

スムーズに動かして水を掻く動作は、肩関節の周囲に付く筋群の柔軟性とパワーアップが必要になります。肩関節の上側に付いているアウターマッスルと呼ばれる外側の筋肉の三角筋、僧帽筋という筋肉は水をかく際に強い抵抗を受けます。また、回旋筋群(ローテーターカフ)といったインナーマッスル(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の安定性、筋力も必要となります。アウターマッスルよりもインナーマッスルの方が安定性という点ではより重要となってきます。

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施術は、身体の歪み、筋肉の張り、関節の動きなど全体がスムーズな動きができているか確認し、局所に行います。インディバ・アクティブやグローブ療法により、細胞を活性化させ、アンバランスになった筋肉のバランスを整えていきます。その後、骨盤周りがしっかりと安定するように骨格の歪みを整え、筋肉がしっかりと動くようにしていきます。

例えばですが、肩関節を動かしている途中ピンポイントで痛みを感じる部分があれば、その体勢のまま引っ掛かりを取っていくイメージでインディバ・アクティブやグローブ療法や鍼施術を行います。

また、うつ伏せで股関節を動かした時に出てくる引っ掛かりに対しても、インディバ・アクティブやグローブ療法や鍼施術を行ったのち、しっかり動かすことができるようになったかなど確認します。

痛みがすでに出ている場合は回復を促進させるため、痛みの出ている患部に鍼施術を行い筋肉損傷の回復を図っていきます。鍼施術以外にも、灸施術も膝関節の痛みに対して効果が高いので取り入れます。また、自宅ではO2オイルを用いて自分自身でオイルマッサージを行っていくように指導します。以下のトレーニングはすべてに共通しますので、お勧めいたします。

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◆医学用語の意味

挙上:上に上げること。肩関節挙上の場合、手を上に上げること。
内旋:内旋とは内側に回すこと。肩関節なので、肩の関節から下の腕を内側に回すこと。
伸展:関節を伸ばすこと。反対に曲げることを屈曲といい、筋肉が収縮(縮まる)し関節が曲がると屈曲状態になります。
内転:体の中軸に近づくようにない方に向かう関節運動のことを指し、肩関節内転だと、腕を脇に付ける動作。股関節内転だと足を閉じる動作のこと。
体幹:手と足を抜いた、胴体部分のこと。

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