クロール

クロール

クロールは自由形(フリー)とも呼ばれ、4泳法の基本の形になり、一番速く泳げるスタイルになります。他の泳ぎに比べ動作に決まったルールがなく最も自由度が高く、実際に泳いでいるときも左右差が気になりにくい泳法です。逆に言うと、左右のバランスが崩れやすいのが特徴で、左右の筋力差や柔軟性の違いがある選手は、しっかり陸上のトレーニングなどをして左右の筋力差を埋め、柔軟性を高めていく必要があります。

 

<スイマーズショルダー>

クロールでは水中での推進力は、ストローク(手の動き)が80%、キックが20%と言われており、腕による推進力が重要となります。トップアスリートだと一日に10000m以上泳ぐこともあり、5000回も腕を回していることになります。そのため支点となる肩の痛みの頻度は必然的に高くなります。

そして、推進力を生み出すには腕の力が重要です。そのため、推進力の中心となる肩関節の使いすぎによるオーバーユーズや他の部分をかばって無理やり動かすことを行う事で痛めてしまう事が多いです。

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特に、腕を水中に入れる際に、肩関節が内側に回転しながら伸ばす動作が、上腕二頭筋腱(腕の付け根にある力こぶの筋肉の付け根のこと)や肩甲骨の靭帯(烏口鎖骨靭帯、肩鎖靭帯)とぶつかり、こすれ合う作用が出ます。この動作を繰り返し行っていくと、肩内部の摩擦が強くなり、炎症を起こして肩に痛みが出てきます。

また、プルの時に、広背筋を使い体幹をひねるようにして掻くことが理想なのですが、体幹の筋肉をしっかり活用できなかったり、肩関節が無理な角度でリカバリーを行ったりすることで、肩への負担は大きくなり痛めやすくなります。

そのことを総称して、スイマーズショルダーと言います。

 

<痛みの出るタイミング>

ストロークとは、右手と左手がそれぞれ一回転することを言います。また、ストロークは水中動作の「プル期」と水上の「リカバリー期」に分かれます。

水中の「プル期」はさらに「エントリー」「キャッチ」「フィニッシュ」「リリース」に分類され、痛みの起こるタイミングによって障害される筋肉や腱が変わるため、どのタイミングでどう痛むのかが重要です。

多い例として以下を挙げます。

 

①エントリー

肩関節を水上に挙げて、人差し指から入水する際に、肩甲骨周囲の筋肉の柔軟性が足りず肩甲骨が外に広がらなくなると、肩甲骨と上腕骨が作っている関節(=肩甲上腕関節)の可動域が必要以上に大きくなりインピンジメント(=筋肉の挟み込みによるケガ)が起こりやすくなります。また、体幹がしっかり伸びないことでも、肩甲上腕関節に負担をかけます。

 

②キャッチ

水を捉える際に、肩関節を挙げた位置でさらに内旋動作となり烏口肩甲靭帯の下面で筋肉の腱が擦れ合います。肩甲上腕関節の安定性が上がると上腕骨の骨頭が前方に動き関節唇や上腕二頭筋長頭にもストレスを生じる。

 

③フィニッシュ

肩関節が内旋、内転位となることで肩甲骨から出て上腕骨に停止する筋肉(インナーマッスル)が上腕骨に止まる部分で血行不良となり、繰り返しの動作により痛みを生じる。

 

④リリース

水中から肘を引き上げる時、後上方に水を書き上げると肩関節が後方に行き、さらに外側に開くため上腕二頭筋長頭(=力こぶ筋肉)が骨に圧迫されるため疼痛が発生する。

 

⑤リカバリー

体幹を捻る動作が不足すると、肩関節を必要以上に後方に引き上げるため上腕二頭筋が伸ばされ疼痛が発生する。

 

 

痛みが強い部分や初期の場合は、むやみに動かすと症状が悪化するので、疼痛緩和を最優先で、インディバ・アクティブやPNF電気療法、超音波、鍼、酸素オイルを用いて施術を行います。

鍼には、硬くなった筋肉の緊張を取るだけでなく、傷ついた細胞の再生力を高め、鎮痛効果・除痛効果があります。また、神経にも直接アプローチすることができるため、神経の働きも良くすることができます。

基本的な泳ぎの注意として、正しいフォームをきちんと作ることがケガや故障防止になります。

 

 

1、肩関節を鍛えましょう!

肩関節を構成しているインナーマッスルを鍛えます。通常のトレーニングを行うと大抵の場合は外側の筋肉(いわゆるアウターマッスル)が鍛えられますが、インナーマッスルとの筋力バランスが崩れると肩関節に無理な動きを強いてしまった結果、肩関節の障害を作ってしまいます。
 
 
また、細かいことをお伝えしますと、水泳選手の肩甲骨は外側に位置し、さらに、お辞儀をしたように前傾していることが多く、大胸筋や僧帽筋、前鋸筋に筋緊張が強く、菱形筋、前鋸筋の筋力低下が見られます。
 
内旋筋群(大円筋、肩甲下筋、大胸筋)に比べ外旋筋群(棘下筋、小円筋)の筋力の低下が不安定性の原因となり、筋肉の機能を低下させます。外旋筋群に疲労がたまると上腕骨頭が前上方に行きインピンジメントを起こしやすい状態になります。

そのため、内旋筋の筋緊張をとり、外旋筋をチューブトレーニングなどで鍛えバランスよくした方がいいですね。これは個人で行うトレーニングになり、しかもチューブを用いて地味なトレーニングになるので、挫折しないよう意識高く行いましょう!

 

2、ストレッチを行いましょう!

特に肩甲骨(肩関節)のストレッチが故障予防に重要な役割を果たします。ストレッチは肩関節の可動域を広げる事が目的で、筋肉・筋膜などの軟部組織(腱・靭帯・関節包など)を伸ばしていきます。
 
その結果、柔軟性が出来ることで、動きが良くなるだけでなく怪我の予防に繋がります。ただし、靭帯や関節包が伸びすぎてしますと肩関節の不安定感に繋がりますので無理なストレッチはやめて下さい。
*痛みがある時は痛みが取れてから行って下さい。

 

3、効率の良いキックをしましょう!

クロールではキックが肩関節の補強要素の一つといえます。泳ぐ距離や時間が長いほど、またスピードが遅いほど重要になってきます。一回一回のキックが正確でなければフォームが崩れます。その結果、肩関節の負担に繋がっていきます。

 

4、肩以外の負傷しやすい部分

<背中、腰、股関節>

それは、肩甲間部(肩甲骨の間のこと)にあります胸椎5番6番付近です。両腕を大きく回旋させた時、この部分が軸となります。練習量が増えたり、疲れを持ち越したりすると、ピンポイントでこの部分が痛むようになり、両腕の運動の効率が落ちてきます。そのため、胸椎の可動域を確保しておくことも大切です。

また、胸椎は、両腕を回旋させる軸として体を左右にねじる時に、腰椎よりも広い可動域を持っている関節です。ある程度固定されていないと、軸がブレて推進力が落ちてしまいますが、この部分に少しも遊びがないと、体を開いた時に肋骨の一つ一つの動きがより制限されてしまいます。

そして、上半身の動きがスムーズでなくなると、代償として腰の負担が増えてしまいます。背中を常に持ち上げる力が腰の下の方に溜まり腰痛を引き起こしてしまいます。

また、腰と股関節は連動しているため、下肢の動きも制限され、できるだけ負担を軽くしようと使いやすい側の股関節を働かせるようになります。その結果、骨盤に付いている大きな筋肉が骨盤を引っ張ることになり、骨盤に左右差が現れてきます。

背中にある大きな筋肉の広背筋も影響があります。広背筋は、肩を後ろに引く時に力を発揮する筋肉です。大きい筋肉なので、疲労を感じにくいのですが、選手はなんとなく背中が怠い、肩甲骨のちょっと下あたりに違和感がある、というようなことを主張した際は、広背筋に疲労が溜まっている証拠です。

その他にも、股関節が硬くなることで、大腿部や下腿部にも負担がかかり、下半身のけがもしやすくなります。

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施術は、身体の歪み、筋肉の張り、関節の動きなど全体がスムーズな動きができているか確認し、局所を改善していくように行います。

インディバ・アクティブやグローブ療法により、細胞を活性化させ、アンバランスになった筋肉のバランスを整えていきます。その後、骨盤周りがしっかりと安定するように骨格の歪みを整え、筋肉がしっかりと動くようにしていきます。

例えばですが、肩関節を動かしている途中ピンポイントで痛みを感じる部分があれば、その体勢のまま引っ掛かりを取っていくイメージでインディバ・アクティブやグローブ療法や鍼施術を行います。
また、うつ伏せで股関節を動かした時に出てくる引っ掛かりに対しても、インディバ・アクティブやグローブ療法や鍼施術を行ったのち、しっかり動かすことができるようになったのかなど確認します。

痛みがすでに出ている場合は回復を促進させるため、痛みの出ている患部に鍼施術を行い筋肉損傷の回復を図っていきます。鍼施術以外にも、灸施術も膝関節の痛みに対して効果が高いので取り入れます。また、自宅ではO2オイルを用いて自分自身でオイルマッサージを行っていくように指導します。以下のトレーニングはすべてに共通しますので、お勧めいたします。

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◆医学用語の意味

挙上:上に上げること。肩関節挙上の場合、手を上に上げること。
内旋:内旋とは内側に捻ること。肩関節なので、肩の関節から下の腕を内側に回すこと。
伸展:関節を伸ばすこと。反対に曲げることを屈曲といい、筋肉が収縮(縮まる)し関節が曲がると屈曲状態になります。
内転:体の中軸に近づくように内方に向かう関節運動のことを指し、肩関節内転だと、腕を脇に付ける動作。股関節内転だと足を閉じる動作のこと。
体幹:手と足を抜いた、胴体部分のこと。

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